糖類ゼロのチョコは、食べ過ぎ注意のマルチトール入り
糖類ゼロが売り文句のチョコレートに関するページです。
糖質ゼロではなく、糖類ゼロになります。糖質は、食物繊維を除いた炭水化物のこと。糖類は、糖質の枠組みの中にある砂糖やブドウ糖など。
つまり、糖類ゼロは「砂糖やブドウ糖が入っていないよ」という話であって、デンプンなどの糖質はゼロじゃない。
食物繊維と糖質の大きな違いは、消化されるか否かです。食物繊維は消化されないのに対し、糖質は消化されてエネルギーとして吸収されます。
実際、糖類ゼロを謳うロッテ ZEROの糖質は、10gあたり3.9gとなっています。もちろん、糖類は0gです。
「0」と表記されていれば、完全に「0」かと言うと、そうではありません。一定値未満であれば、「0」と表記できるからです。そのことは「食品表示基準 第3条」の栄養成分のところに書かれています。
当該一定の値にあっては、同表の第一欄の区分に応じ、同表の第三欄に掲げる方法によって得られた当該食品百グラム当たりの当該栄養成分の量又は熱量(清涼飲料水その他の一般に飲用に供する液状の食品にあっては、当該食品百ミリリットル当たりの当該栄養成分の量又は熱量)が同表の第五欄に掲げる量に満たない場合は、〇と表示することができる
引用元:e-Gov法令検索
詳しくは、消費者庁の『食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン』をご覧ください。「0」表示に関しては、34ページからです。
それによれば、糖質の許容差範囲は±20%で、「0」と表示できる量は0.5g(100gもしくは、100mlあたり)となっています。
「甘いのに、砂糖が入ってないの?」
砂糖が入っていないのに甘いのは、人工甘味料や糖アルコールを用いているからです。
その糖アルコールの一種「マルチトール」が、チョコレートに使われていることが多いので、調べてみました。
マルチトールを食べ過ぎると、どうなるのか
上の画像は、「チョコ屋」というショップで、ノンシュガー クーベルチュール チョコレートを買った際に入っていたチラシです。
『カロリーは砂糖の約半分』『血糖値を急激に上げない』『歯にやさしい』というアピールポイントが書かれています。
一方で、一度に大量に摂取すると、お腹が緩くなることがあるという注意書きも……。この注意書きは、ロッテのZEROにもあります。
多量とは、どれくらいか。
症状の有無には個人差があるので、明言はできないでしょう。とはいえ、日本医薬品添加剤協会のサイトには「ヒトにおける知見」があります。
チョコレートに含まれているマルチトール摂取の消化管への影響はほとんど知られていない。本試験は、マルチトールが消化管症状を増加させるか、また消化管症状は用量依存的であるかを確かめるために行った。マルチトールによる呼気水素排出が用量依存的かを確認した。
<略>
40gマルチトール入りチョコレートは、30gマルチトール及び白糖よりも総呼気H2排出が大きかった。また30gマルチトールは、白糖よりも総呼気H2排出が大きかった。チョコレート中の30gマルチトールは若年成人に有意な症状を引き起こさなかったが、40gマルチトールは、軽微な腹鳴と放屁を引き起こしたが、通便の増加はなかった。呼気H2排泄の上昇は、多価アルコールの大腸内発酵を示唆するものである。
まず、ガスが溜まりやすい。消化されない代替糖は、腸閉塞の人は避けた方がいい。そんな感じでしょうか。
マルチトールを40gほど取ると、有意な症状に繋がるようなので、ロッテのZEROなら約11本がひとつの目安。
糖質の大半がマルチトールだと仮定した場合の話なので、ラクチトールやスクラロースの量は無視しています。
1箱に5本あるので、だいたい2箱ですね。
マルチトール入りチョコの感想
以下は、あくまで個人的な感想です。
ZEROは、歯に付く。別の言い方をするなら、柔らかいキャラメルに似た粘度と固さでした。冷蔵庫から出してすぐに食べたこともありますが、なかなか溶けてくれなかった気がします。
1箱を一気に食べましたが、これといって体調面での変化はありませんでした。
チョコ屋の方は、シャリシャリした食感だったように記憶しています。こちらは食べ続けていたら、お尻の穴の辺りがムズ痒くなったような……。でも、ガスが溜まるという感じではなかったので、原因は他にあるかも。
どちらも、砂糖とは違う甘さなので、「甘いものが食べた~い」という欲求を満たすことはない。そんな気がしました。確かに甘いんでしょうけど、「コレジャナイ感」があります。
チョコ屋のチラシによると、マルチトールは小腸で消化吸収されにくいので、そのまま大腸に達し、大腸内の浸透圧を上昇させてしまうとか。
そうなると、人体の調節機能が働いて、腸内の浸透圧を元の状態に戻そうと腸管壁から水分を引き出し、それで腸内の水分含有量が多くなり、浸透圧性下痢を引き起こす……。
「食べ過ぎたら、下痢になるなんて……」
「思わず、食べ過ぎちゃった」となる可能性は、低いと思います。そこまで、美味しくないからです。
繰り返し書きますが、あくまで個人的な感想です。
カロリーについて
「cal」はカロリー、「Cal」になると大カロリー。「1Cal」=「1,000cal」=「1kcal」で、「1キロカロリー(kilo calorie)」は「1リットル(litre)」の水を1℃上げる熱量になります。
『日本医師会』のサイトには、『参照体重における基礎代謝量』として、1日の活動に必要な推定エネルギー量が書かれています。
例えば、30~49歳の体重が68.5kgで基礎代謝が22.3の男性なら1530kcal、同年代の体重が53.1kgで基礎代謝が21.7の女性なら1150kcalといった具合です。
1リットルの水を1℃上げる熱量が1kcalなので、私たちの日々の活動は その1000倍以上も要る。そう考えると、ダラダラ過ごすのはエネルギーの無駄遣い。そう言えるかも……。
熱量は「kcal」のほかに、「kJ」で表記されることもあります。海外の食品の中には、両方の表記があるものもあり、その一例は下記リンク先で確認できます。
ただ、「100kcalの物を食べたから、100kcalのエネルギーを得た」と思ってはいけません。消化や吸収にも、エネルギーを使うからです。
学術的なことは、「食事誘発性熱産生」で検索すれば、調べられるはず。
この消化や吸収に使うエネルギーは、食品によって大きく異なります。消化しやすい云々は よく聞くので、言われるまでも ないでしょうけど……。
「食品によって」と書きましたが、正確には栄養素になります。タンパク質が約30%で、脂質と糖質では約7%。同じカロリーを取っても、消費が約束された量が違うわけです。
100kcalの物を食べても、エネルギーとして使えるのは、消化・吸収で消費しなかった分になるので、「100kcalのエネルギーを得たと思ってはいけない」と書きました。
まぁ、ダイエットしている人にとっては、勝手に消費するからタンパク質の方が太りにくい。そんな結論になるのかもしれません。
一方、人類の進化という視点で見れば、火を使うことで消化・吸収を効率化したから、脳の活動にエネルギーを回せるようになって繁栄した。そんな風に解釈できるかも。
なお、上記のパーセンテージは、特定の栄養素だけを摂取した場合の数値なので、混ざった状態で摂取すれば、摂取カロリーの約1割くらいになるでしょう。
まとめ
「マルチトールだから、糖類がゼロ」をウリにするチョコレートは、美味しくない。
言いたいことは、それだけなんですが、なぜ美味しいと思えないのかを考えると、「吸収しづらいから」という結論になりました。
人が甘さを求めるのは、そこにエネルギーがあるからです。消化・吸収しやすいエネルギーがある。そして、日々の活動には多くのエネルギーが要る。
飢餓対策として脂肪を溜め込むように進化した人類にとって、甘さは「生存の喜び」だったのでは、ないでしょうか。
食えば、生きられる。そういう意味で。
マルチトールの消化しづらさは、身体がわかっている。遺伝子に刻み込まれた甘みは、そこにない。だから、美味しく感じないのかも……。そんな話。
三度目になりますが、あくまで個人的な感想です。